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パフォーマンス比較を行う前に、まずはインテル コンパイラーの製品ラインアップを簡単に紹介しておこう。インテル コンパイラーには、C/C++コンパイラ製品「インテル C++ コンパイラー プロフェッショナル・エディション」とFortranコンパイラ製品「インテル (Visual)Fortran コンパイラー プロフェッショナル・エディション」の2製品が用意されている。対応プラットフォームは32ビットおよび64ビット(x86およびx64、IA-64)のWindowsおよびLinux、Mac OS Xだ。
なお、以前はコンパイラ単体での販売もされていたが、最新版のインテル コンパイラー 11.0からは、「インテル スレッディング・ビルディング・ブロック」(Threading Building Block、以下TBB)と呼ばれる並列化ライブラリや「インテル マス・カーネル・ライブラリー」(Math Kernel Library、以下MKL)という数値計算ライブラリ、動画/画像/音声/信号処理用ライブラリ「インテル インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ」(Integrated Performance Primitive、以下IPP)が付属する「プロフェッショナル・エディション」のみにラインアップがまとめられている。これらのライブラリもコンパイラと同様にインテルによって開発されており、インテルCPU向けの最適化や並列化などが行われているのが特徴だ。
なお、日本国内においては、これらの製品はエクセルソフトが代理店となり、日本語版の販売とサポートを行っている。日本語版はマニュアルやインストーラーなどが日本語化されており、また技術サポートサービスなども提供されている。エクセルソフトのWebサイトでは体験版も入手できるので、興味を持たれた方はダウンロードして試してみると良いだろう。
インテル コンパイラーの特徴は、高速に実行できるバイナリコードをユーザーが意識せずに作成できる、という点にある。さらに、インテル C++ コンパイラーのWindows版はVisual C++、Linux/Mac OS X版はGCCと機能やコンパイルオプションの両方で互換性があり、Visual C++やGCCでコンパイルできるプログラムならそのままインテル コンパイラーでもコンパイルできる。
また、Windows版インテル C++ コンパイラーにはVisual C++用のプラグインが付属しており、Visual C++のIDEであるVisual Studioを使っている場合、簡単にインテル C++ コンパイラーを利用できる。たとえばVisual Studio 2008の場合、コンパイルしたいプロジェクトを開き、ツールバーの「インテル C++を使用」ボタンをクリックするだけで良い(図1)。これだけでプロジェクトの設定が自動的に変更され、インテル C++ コンパイラーでコンパイルが行われるようになる。
プラグインを導入することで、インテル C++ コンパイラーの最適化オプションをGUIで設定することも可能だ。たとえばVisual Studio 2008では、図2のようにプロジェクトの設定でコンパイラオプションを指定できるが、プラグインを導入するとこの画面に図3のような「インテル固有」項目が追加され、インテル C++ コンパイラーのコンパイルオプションも設定できるようになる。複雑な最適化オプションを覚えずにGUIで最適化設定が行えるため、非常に使いやすい。
なお、Windows版のインテル C++ コンパイラーはVisual C++に含まれるリンカーを使用するため、別途Visual C++ 2003以降が必要となる。無償版であるVisual C++ 2005/2008 Express Editionとの組み合わせでも利用は可能だが、Express Editionの場合Visual Studioとの統合機能は利用できず、またVisual Studioからのコンパイルも行えないので注意してほしい(コマンドラインでのコンパイルは可能)。Visual Studio 2008を持っていないがとりあえず試したい、という場合は90日間評価版を利用しよう。
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LastUpdate: 2009-11-18 20:46:59, ModifiedBy: hiromichi-m
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