[JM:02040] [POST: DP] util-linux, dmesg

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長南洋一 cyoic****@maple*****
2021年 2月 6日 (土) 11:35:03 JST


<STATUS>
stat: DP
ppkg: util-linux (2.36)
page: dmesg.1
date: 2021/02/05
mail: cyoic****@maple*****
name: Chonan Yoichi
</STATUS>

dmesg は、佐藤さんの投稿にはありませんが、新しい翻訳があったほうがよいでしょう。
最新版は、前の翻訳とくらべて随分増補されていますし。

dmesg の manpage は、このバージョンではセクション 1 ですが、以前は
セクション 8 にありました。ですから、前の日本語 manpage を見ようと思ったら、
"man 8 dmesg" とする必要があります。

なお、このマニュアルでは、po ファイルから manpage を作るときに、次のように
"-o unknown_macros=untranslated" というオプションが必要です。

  $ po4a-translate -f man -m dmesg.1 -p dmesg.po -l dmesg.draft \
  -o unknown_macros=untranslated -v
  $ patch -p0 <dmesg.patch

例によってよく分からないところや、迷っているところ。

○ the kernel ring buffer:

   これは「カーネルリングバッファ」「カーネル・リングバッファ」「カーネルの
   リングバッファ」のどれがよいでしょうか。前の訳では、初出箇所 (「名前」
   セクション) だけ「カーネルの (ログ用) リングバッファ」で、あとは「カーネルの
   リングバッファ」になっていました (「ログ用」は前の訳者による補足)。
   確かに、最初に「これはログ用のバッファだよ」と言っておいたほうが、読者に
   分かりやすいと思ったので、「名前」セクションは訳し方を踏襲しました。

○ -d, --show-delta:

   "the time delta spent between messages" の "time delta"
   は、「増分」「差分」、どちらがよいでしょう? 意味的には「増分」が
   より正確なのですが、見かけとか音の響きは「差分」の方がきれいな気がします。

   「前のメッセージからの経過時間」ですます手もあると思います。その方が
   スッキリしてわかりやすいかもしれませんが、"time delta" という言葉が
   私には印象的だったので (へえ、こういう言い方をするのか)、カッコに入れて
   出しておきたかったということもあります。delta は、他の場所にも出てきますし。

○ -p, --force-prefix:

     Add  facility,  level or timestamp information to each line of a
     multi-line message.

     複数行メッセージの各行にファシリティ、レベル、タイムスタンプの情報を
     付け加える。

   multi-line message というのは、具体的にはどういうもので、それが
   --force-prefix でどうなるのか分からないでいます。

○ -s, --buffer-size size

     Use  a  buffer of size to query the kernel ring buffer.  This is
     16392 by default.  (The default kernel syslog  buffer  size  was
     4096  at first, 8192 since 1.3.54, 16384 since 2.1.113.)

     カーネル・リングバッファの問い合わせに、サイズ size のバッファを
     使用する。デフォルトでは 16392 である。(デフォルトのカーネル・シ
     スログバッファのサイズは、最初は  4096  だったが、1.3.54  以後は
     8192 になり、2.1.113 以来 16384 になった。)

   この数値の単位は、バイトですね。どこかに単位を入れた方がよい気がするのですが、
   どこに入れるか難しい。

   このカーネル・リングバッファとカーネル・シスログバッファは、同じものと
   考えてよいのですか。

○ -T, --ctime:

     Be  aware  that  the  timestamp  could  be inaccurate!  The time
     source used for the  logs  is  not  updated  after  system
     SUSPEND/RESUME.  Timestamps are adjusted according to current
     delta between boottime and monotonic clocks, this works only for
     messages printed after last resume.

     「タイムスタンプは不正確なことがある!」のをご承知いただきたい。ログに
     使用する、タイムスタンプの元になる情報 (the time source) は、システムの
     サスペンド/レジューム後に、更新が行われない。更新が行われないので、
     タイムスタンプはブートタイムと単調増加クロックとの間の現在の増分 (delta)
     によって調整されているのだが、そうした調整が、最後のレジューム後に表示される
     メッセージ同士の間でしかうまく働かないのである。

   はっきり言って、これは原文が混乱しているのではないかと思います(実際、
   "Timestamps are adjusted according to ..." 以下は、2.36 で
   追加されたもの。それ以前はなかった)。Web ですこし調べ、実験もしてみましたが、
   要するに「タイムスタンプは、ブートタイムと実稼働時間によって計算されていて、
   サスペンドしている間は計算に含まれない」ということのようです。それなら、
   レジューム後のことなんか言わないで、「そうした調整がまともに働くのは、
   最初のサスペンドの前だけである」と言えばよいのに、と思います。あるいは、
   「ログに使用する、タイムソース ...」の部分を「サスペンド/レジューム後に
   サスペンド中の時間の補正が行われないのである」のように書き換えて、
   2.36 で追加した部分は消してしまうか。

   そういう解釈で、"The time source" を「タイムスタンプの元になる情報」と
   訳しました (要するに、単調増加クロック。それにあえて付け足すなら、
   ブートタイム)。解釈が間違っているかもしれません。

   私の訳も、混乱していると言えば混乱していますが、原文に添いつつ、ぎりぎり意味が
   通るようにしたつもりです。でも、やっぱり意味不明と言われそうなので、次のような
   訳注を付けておきました。

     [訳注] つまり、サスペンド/レジューム直後のタイムスタンプに対しては、調整が
           うまく働かない。言葉を変えると、カーネル・リングバッファのタイム
	   スタンプは、ブートタイムと実稼働時間によって計算されており、サスペンド中の
	   時間は加算されないので、サスペンド後の dmesg の日時表示は信用できない
	   ということである。

   「調整 (adjust)」という訳語ももっと適当なものがあるかもしれません。

添付ファイルの構成は、次のようなものです。

$ tar tzf dmesg-2.36.tar.gz 
dmesg-2.36/
dmesg-2.36/po4a/
dmesg-2.36/po4a/man1/
dmesg-2.36/po4a/man1/dmesg.patch
dmesg-2.36/po4a/man1/dmesg.po
dmesg-2.36/original/
dmesg-2.36/original/man1/
dmesg-2.36/original/man1/dmesg.1
dmesg-2.36/draft/
dmesg-2.36/draft/man1/
dmesg-2.36/draft/man1/dmesg.1

-- 
長南洋一
-------------- next part --------------
テキスト形式以外の添付ファイルを保管しました...
ファイル名: dmesg-2.36.tar.gz
型:         application/octet-stream
サイズ:     13916 バイト
説明:       無し
URL:        <https://lists.osdn.me/mailman/archives/linuxjm-discuss/attachments/20210206/0b0c5b7e/attachment-0001.obj>


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