[JM:03342] Re: 著作権に関係する検討

Back to archive index
matsuand michi****@gmail*****
2022年 3月 13日 (日) 07:58:21 JST


matsuand です。

On Sat, Mar 12, 2022 at 11:52 PM Akihiro Motoki <amoto****@gmail*****> wrote:
>
> 元木です。
...
> 白方さんが書いていたのは、今後翻訳を担当した人の進め方次第では
> matsuand さんが行った翻訳が利用されないことがある、という、
> 当たり前のことを指摘しただけではないでしょうか?

これは一大事になってきそうですよ。

まず1つ。
matsuand の翻訳分に限らずですが、ある者が行った翻訳(A)を
利用せずに、他者が新たな翻訳(B)を進めるということは、
(A)の翻訳を、ほぼ利用してはならなくなります。
無断で利用したら盗作です。
守られていますか?/守っていけますか?

それから大いに疑問に思っていることを一つ。
まず著作権表記の実際例をあげます。
http://linuxjm.osdn.jp/manual/GNU_gzip/release/man1/gzip.1
gzip.1 の著作権表記は上記URLから見てわかるように
以下となっています。

.\" Japanese Version Copyright (c) 1993-2012
.\" NetBSD jman proj., Yuichi SATO and Akihiro MOTOKI
.\"         all rights reserved.
.\" Translated 1993-10-15, NetBSD jman proj. <jman****@spa*****>
.\" Updated 2000-06-09,Yuichi SATO <sato****@compl*****>
.\" Updated 2012-04-20, Akihiro MOTOKI <amoto****@gmail*****>, gzip 1.4

複数の方がこの翻訳に携わっていて、名前表示を行っています。
これは著作権法にしっかりと定義されている、「共同著作」という
もので、各人はそれぞれ「共同著作者」と定義されます。

ここは心情論になりますが、私は上のような著作物に対して
新たに自分で翻訳の更新を行おうとし場合、それまでの
翻訳者各位とその成果をリスペクトし、その著作権を侵害
することなく、新たな翻訳作業を進め、成果を得て、
(matsuand の場合は主義主張があって行いませんが)
普通は著作権表記の最後に、自分の名前を書き加えて
共同著作者の仲間入りをする、というのがごく自然な流れ
と思ってきました。

ところが白方さんや、その表明を擁護された元木さんの言
によると、上の「共同著作者」によって行われた、それまで
の翻訳を破棄して、新たな翻訳を提供することもあり
なんですよね? 後から翻訳に着手する人には、それまで
の翻訳を参考にするのか破棄するのか、完全なる自由
裁量権が与えられている、ということですか?

もし仮にそうだとすると、非常に驚きです。
極端な話、これまで積み上げてきた翻訳成果は、
後からやってきた翻訳者によって、完全に塗り替え
られて著作権主張もすべて、その者に持っていかれて
も、文句は言わない、そういうプロジェクトだということ
ですよね?

個々の翻訳案件の日本語訳部分に対するライセンス
が、明示されていないのがほとんどで、あたかも原文と
同じライセンスに従います、としているのがほとんどかと
思います。原文と同じライセンスと言えば、代表的には
GPL とか MIT ライセンスとか BSD なんとかとか。
これいずれも海外でのライセンスですから、著作権問題
を国内で提訴する場合には準拠法とはなりえないと思います。

ですから上で例示した、後からやってきた翻訳者が、
「今後、翻訳に手をつける場合には、私の許可を得ること」
なんていう制約をつけたとしたら、それに対抗するすべは
ありますか? まるで Richard M. Stallman が Emacs
コードを奪われて、手を出せなくなってしまった不幸な
できごとを想起させます。

だからプロジェクト憲章、作るべきとおもうんですけどね。


> 私の理解では、本人がどういったかに関わらず、著作権は自動的に発生します。
> 著作権に基づく主張をどう行うかは著作権者次第です。
> リポジトリーにコミットした時点で、あるコミットを取り出せば、
> 例えば matsuand さんの著作物は残っています。
> これの著作権は matsuand さんにあります。
> その後、完全に新しい翻訳を採用して、それを公開した場合、
> その著作物の著作権は新しい翻訳をした人に帰すると思います。
> matsuand さんの著作物はそのコミットを取り出せば残っています。
> 著作物自体は失われていません。

「その著作物の著作権は新しい翻訳をした人に帰すると思います。」
という表現をされているということは、共同著作という考えを
とっておらず、著作権が新翻訳者に譲渡されたかのように
捉えているということですよね。確かに著作権法上も
著作権の譲渡ってありますから、それはそれでいいですが、
そもそもの話、関係する著作権者の間で、このことは周知
されていますか? たぶんされていないですよね?
たぶんされていないのが明らかです。だって上で gzip.1 の
著作権表記を示したように、明らかに共同著作権表記なんですから。


> 一方で、細かな点は本当の法律議論になると思います。
> 新しい翻訳が元の翻訳に似ていたら元の翻訳の翻訳者は著作権を主張できるのか、
> 参照せずに訳したから新しい翻訳を行った人は全部の著作権を主張できるのか、
> などなど、少し考えただけでもいろんな観点が出て来ます。
> もっと言うと、新たにコミットを重ねることは、他の人の著作物を改変・削除した
> ことになるのか、という点も法律上の見解が求められますね。
> 法律の専門家や判例を待つしかないですね。

専門家に委ねることが必要になってくるでしょうが、
一方で私 matsuand は、先に「法律のド素人」と卑下しましたが、
但し書きつきで、「法律に興味があってかなり調べているド素人」です。
手元に判例百選、判例ハンドブック、判例六法があって、調べながら
本メールを書いています。判例ではどうなっているのか、興味があれば
調べますよ。


linuxjm-discuss メーリングリストの案内
Back to archive index