デル(Dell)のPowerEdge製品には、状態を管理・運用するためのソリューションとして、OpenManageが用意されています。Linuxにも対応していますが、Debianで利用する場合は多少の作業が必要になります。ここでは一般的なamd64版をベースに解説していきます。
OpenManage Server Administrator(OMSA)のLinux版にはRHELとSUSE用のものがありますが、Debian用のものはありません。幸い、サポートRPMパッケージをベースに、ユーザーが作成したDebian用のパッケージがありますので、これを利用します。
75MBほどありますが、Debian上でダウンロードしておきます。
wget ftp://ftp.sara.nl/pub/sara-omsa/dists/dell/sara/binary-amd64/dellomsa_5.3.0-9_amd64.deb
OMSAのLinux版は32ビットバイナリであることなどから、事前にいくつかのモジュールをインストールしておきます。
apt-get install openipmi apt-get install rpm apt-get install ia32-libs
あとはOMSAを導入するだけです。OMSAをダウンロードしたディレクトリで、以下のコマンドを実行します。
dpkg -i dellomsa_5.3.0-9_amd64.deb
以上で基本的には利用できるのですが、OMSAのWebインターフェイスからのログインの際、PAMの参照でエラーでログインできない状態になります。この対処として、32ビットPAMライブラリを手動で導入します。
以下の3パッケージをダウンロードします。
これらを任意のディレクトリ下にインストールします。
mkdir tmp dpkg -x libpam-modules_0.79-5_i386.deb tmp dpkg -x libselinux1_1.32-3_i386.deb tmp dpkg -x libsepol1_1.14-2_i386.deb tmptmpを仮想ルートとしてインストールされた状態になりますので、これを/lib32以下にコピーします。
cd tmp/lib/ cp -a libsepol.so.1 libselinux.so.1 /lib32 cd security mkdir /lib32/security cp -a pam_unix.so pam_nologin.so /lib32/security最後にライブラリキャッシュを更新します。
ldconfig続いてOMSAのPAM設定ファイル/etc/pam.d/omauthで、「lib」の部分を「lib32」に書き換えます。
auth required /lib/security/pam_unix.so nullok auth required /lib/security/pam_nologin.so account required /lib/security/pam_unix.so nullok
auth required /lib32/security/pam_unix.so nullok auth required /lib32/security/pam_nologin.so account required /lib32/security/pam_unix.so nullok
以上で導入準備は完了です。
動作確認を兼ねて、OMSAのWebインターフェイスを利用してみます。OMSAをインストールしただけの状態では、Webインターフェイスは起動していないので、まずはデーモンを起動します。
/etc/init.d/dsm_om_connsvc startこのコマンドでOMSA Webインターフェイスが1311ポートで待機するようになります。一応、netstatで1311ポートがLISTENになったか確認しておきます。
# netstat -a Active Internet connections (servers and established) Proto Recv-Q Send-Q Local Address Foreign Address State tcp 0 0 *:37487 *:* LISTEN tcp 0 0 *:sunrpc *:* LISTEN tcp 0 0 *:auth *:* LISTEN tcp 0 0 localhost:smtp *:* LISTEN tcp6 0 0 *:ssh *:* LISTEN tcp6 0 0 *:1311 *:* LISTEN : :確認できたら、Webブラウザから「https://localhost:1311/」(内部)もしくは「https://<IPアドレス>:1311/」でアクセスすると、OMSAのログイン画面が表示されます(DRAC同様に証明書の警告は表示されます。参考:Vista&IE7での対処)。
DRACのインターフェイスに似ていますが、ここでは、DRACのアカウントではなく、Debian上で作成したアカウントでログインする点に注意しましょう。ログインすると、ハードウェアの各種情報の参照と操作が行えるようになります。
PERCコントローラではなく、SAS 6/iRなどを利用している場合は、ディスクの情報が取得できない状態になっています。これは、紹介した以上の作業では情報取得に必要なカーネルモジュールが読み込まれていないためでです。Webインターフェイスの「ストレージ」欄に何も情報がない場合は、以下の作業を試してみてください。
modprobe mptctl /etc/init.d/dataeng restartWebインターフェイスやomreportコマンド(OMSAによって導入される)などで確認できたら、mptctlモジュールが起動時に読み込まれるように、/etc/modulesに記載しておきます。
# omreport storage controller Controller SAS 6/iR Adapter (Slot 2) Controllers ID : 0 Status : Ok Name : SAS 6/iR Adapter Slot ID : PCI Slot 2 State : Ready Firmware Version : 00.20.46.00.06.14.10.00 Minimum Required Firmware Version : Not Applicable Driver Version : 3.04.01 Minimum Required Driver Version : Not Applicable Number of Connectors : 2 Rebuild Rate : Not Applicable BGI Rate : Not Applicable Check Consistency Rate : Not Applicable Reconstruct Rate : Not Applicable Alarm State : Not Applicable Cluster Mode : Not Applicable SCSI Initiator ID : Not Applicable Cache Memory Size : Not Applicable Patrol Read Mode : Not Applicable Patrol Read State : Not Applicable Patrol Read Rate : Not Applicable Patrol Read Iterations : Not Applicable
# /etc/modules: kernel modules to load at boot time. # # This file contains the names of kernel modules that should be loaded # at boot time, one per line. Lines beginning with "#" are ignored. loop mptctl