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“フレームサーバ” Express5800/S70 分解レビュー

パーツを交換する際の注意点

最後にS70のパーツ構成をカスタマイズする際の注意点をまとめておきましょう。なお、繰り返しになりますがNECのオプションパーツ以外をS70に組み込んで利用する場合、メーカー保証が受けられなくなりますのでご注意ください。

CPU

S70の製品情報には明確な記載はありませんが、S70のマザーボードにはFSB 1333MHzまでのLGA775ソケット対応CPU(Core 2 Duo/Quad、Pentium Dual-Core、Celeron Dual-Core、Xeon)を搭載することができるようです。なお、付属のCPUクーラーは作りはしっかりしていますが、TDPが100Wを超えるような発熱の大きいCPUに換装する場合はCPUクーラーの交換も検討したほうがいいでしょう。

CPUクーラー

付属のCPUクーラーは専用のバックプレートで固定されているため、このバックプレートを流用できないCPUクーラーに交換する場合はマザーボードをケースから外してバックプレートを取り外す必要があります。バックプレートには両面粘着シートが貼られていますが、保護シールが付いたままなので、バックプレートの足に付いている樹脂製のEリングを外せばバックプレートも外れます。

なお、CPUソケットとメモリソケットの間には比較的背の高いコンデンサが2つ存在します。VRM(電圧レギュレータモジュール)に付いているヒートシンクも背が高いので、CPUクーラーを交換する際はこれらとの干渉に注意してください。

また、S70のサイドパネルにはダクト穴がないので、大型のトップフロー型CPUクーラーを装着した場合、十分な空気を吸入できない可能性があります。そのため、CPUクーラーの交換に当たっては、背の低いトップフロー型か、あるいはサイドフロー型の製品を検討するほうがよいでしょう。ただし、サイドフロー型の場合もS70の筐体は横幅が173mmなので、クーラー単体で高さが150mmを超えるような大型クーラーは利用できません。

メモリ

今回はECC無しのDDR2-800メモリでも動作しましたが、正式に対応しているわけではないのでECC無しメモリの利用は自己責任となります。もっともS70のメモリコントローラはデスクトップPC用チップセットのX38ですので、サーバ専用チップセットを搭載するマシンに比べれば、ECC無しのメモリで動作する可能性は高いと言えるでしょう。もちろん、ECC無しメモリの利用時はECCメモリ利用時に比べてシステムの信頼性が低くなるので、S70を会社のサーバとして利用するような場合は割高でもECCメモリを利用するほうが安心です。

グラフィックスカード

S70をゲーム用にチューンアップする場合、グラフィックスカードの交換は避けて通れません。しかし、S70付属の電源ユニットにはグラフィックスカード用の電源コネクタが用意されていないため、カード上に電源コネクタのあるミドルクラス以上のグラフィックスカードに交換する場合は電源確保が問題になります。内蔵ドライブ用4ピン電源コネクタからグラフィックスカードの電源を取るための変換ケーブルなども市販されていますが、付属の電源は定格出力が380Wと少なめなので、高性能な(消費電力の大きい)グラフィックスカードに交換するのであれば、併せて電源の交換も検討したほうがよいでしょう。

なお、付属のグラフィックスカードでは問題ありませんが、カード長が長いグラフィックスカードを一番上のPCI Express x16スロットに装着した場合、カードを付けたままだとメモリの交換ができなくなります(メモリソケットのつめがグラフィックスカードに干渉するため)。メモリの増設とグラフィックスカードの交換を一緒に行う場合はグラフィックスカードを装着する前にメモリを増設するようにしましょう。

HDD

3.5インチシャドウベイユニットは3台までのHDDを収納することができますが、3台以上のHDDを搭載したい場合はどうすればよいでしょうか。3.5インチオープンベイが1つ余っているのでそこに入れることもできますが、上下左右に隙間が無く吸気口も用意されていないのでHDDが高熱になる可能性があります。

そこでHDDを3台以上搭載する場合は、空間的に余裕のある空き5インチベイに3.5インチ/5インチ変換マウンタを介して収納するか、あるいは3.5インチシャドウベイからつり下げるかたちのHDD増設ステイを利用すると良いでしょう。

HDD増設ステイを利用する場合、フロント下部の空冷ファンの後ろにHDDが位置することになるので冷却上有利です。ただし、ファン/スピーカー固定パーツとHDDが干渉しないように設置位置には留意する必要があります。また、拡張カードを増設する際もカードとHDDが干渉する可能性が出てくるので注意してください。

ケースファン

分解時に見たとおりS70の筐体には山洋電気製の80mm PWM制御ファン(San Cooler 80)が4つ付いています。山洋電気のファンは信頼性が高いことで定評がありますが、S70に付いている製品はサーバ用ということもあり、高回転タイプでモータの軸音が少々大きめです。一般的なオフィスなら気になるほどではありませんが、自宅で深夜に利用するようなシーンでは気になるかもしれません。

ファンの静音化を図る場合、なるべく大きなファンを低い回転数で利用するのが基本となりますが、S70の場合、3.5インチシャドウベイとケース背面には、構造上80mmより大きなファンは付けられません。しかし、これらを定格回転数の低い(1,500rpm程度の)静音ファンに交換してしまうと風量が低下してケース内温度が上昇する可能性が出てきます。そのため、2,000~2,500rpm程度のファンを取り付けてファンコントローラで回転数を制御するほうが安全です。こうしておけば、普段は回転数を絞って動作音を小さくしつつ、負荷の高い作業をするときは回転数を上げて冷却性能をアップすることができます。

残りの正面下部のファンに関しては、ファン/スピーカー取り付けパーツを外してしまえば、120mmファンを納めるくらいの空間は出来ます。もっとも120mmファン用のネジ穴や吸気口はないので、ドリルやリーマー、ハンドニブラなどの工具を使ってシャーシ自体を加工することになるでしょう。ただし、そこまでして一個所だけ120mmファンに交換しても静音効果は薄いので、シャーシを加工するくらいなら他のファンと併せて80mmの別なファンに交換し、ファンコントローラで制御するほうが現実的です。

以上、本稿ではS70の分解レビューをお届けしました。今回かかった費用は、S70本体と増設したメモリ、HDDで合計51,970円となりました。今回は4GBのメモリを使ったので5万円を超えてしまいましたが、メモリを2GBにすれば5万円以下に抑えることができます。ショップブランドPCの中には5万円以下で買える製品も数多くありますが、X38チップセットやIntel製ネットワークチップ、工作精度の高い筐体といった構成要素を考慮すればS70の価格は十分魅力的と言えるでしょう。


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